「きゅうりパック」は効果がないどころか、シミ・ニキビ跡に逆効果だった。
その昔、流行ったきゅうりパック…。
きゅうりを薄く切って顔に直接並べたり、ペースト状にして顔に塗るといった“きゅうりパック”。これは美白効果として本当に効果があるのでしょうか?
今回はその真相について、調べてみました。
きゅうりパックは本当に美白効果があるの?
きゅうりは95%以上が水分で、そのほかビタミンCやカリウムなどがごく少量含まれているだけです。
実際、ビタミンCが主成分の医療用医薬品が、炎症後の色素沈着に効能として認められてはいます。しかしこれはそれなりの量を口から毎日摂取した場合であり、効果も100%認められるわけではありません。仮に、皮膚からきゅうりのビタミンCが吸収されたとしても、もともとごくわずかのビタミンCしか含まれていないため、直接作用することは期待できません。
また、灰汁の強いきゅうりや、体質的にきゅうりの成分が合わない人はかぶれなどを起こしてしまう可能性もあります。水分が多いので一時的にしっとりとした感じになるかもしれませんが、乳液を使用したり、皮膚科で保湿剤を処方してもらったほうが安心でしょう。
美白に効果がある物質とは?
美白剤として認められるには、紫外線照射によってできる皮膚の色素沈着の発生を抑制するか、あるいは紫外線照射により人工的に生じさせた色素沈着を軽減するかをダブルブラインド試験という検査方法で証明しなければなりません。
肝斑の治療でいまもっとも有力とされているのは、ハイドロキノンという物質です。1~2カ月ほど塗ることで改善するといわれていますが、中止すると再度出現することがあるようです。また、肝斑は紫外線を避けることも大切で、これにケミカルピーリングや皮膚の角化を抑える薬を併用して継続すると、ハイドロキノン単独で用いるより効果は高いといわれています。しかしこれらの併用は効果は高いものの、炎症を起こすことがあるため、外国ではステロイドも併用することがあるようです。
美白研究はまだまだ発展途上
また、別の医薬品でトラネキサム酸という医療用医薬品(市販薬でも売られています)は、肝斑治療薬処方することが認められています。しかしこの薬は日本以外では美白剤として用いられているところは少なく、ダブルブラインド試験も十分に行われていない可能性があり、効果に関しては疑問が呈されることがしばしばあるようです。今後、改善や新たな再試験が行われるとよいですね。トラネキサム酸は、そのほか喉の痛み止めや止血剤として用いられます。
きゅうりパックについての結論…
きゅうりパックは、あくまで民間療法的なものです。自己判断せずに、皮膚科で適切な治療を受けるほうが確実でしょう。物理的に日光を遮ることや、日焼け止めクリームなどをしっかり用いて紫外線に当たらないようにすることも、皮膚が黒くなることや老化を抑えるには大切なことですよ。